彼のヒーローヴォイス

3日間の入院を終え、仲良くなった担当の看護師さんと一緒に一階のロビーまで行った。


ロビーの椅子に座っていた荒井さんの姿を見つけたので、看護師さんにお礼を言って
それから、荒井さんに近づいた。


「荒井さん…」


座っていた荒井さんに声をかけた


「おぉ、怜 もう、大丈夫か? 車、駐車場だから正面玄関で待ってろ」


「はい」


正面玄関でしばらく待っていると、荒井さんの車が滑り込んできた。

後ろのドアを開け、乗り込む。


「このまま、アパートに行くけど、どこか寄るか?」


バックミラー越しに荒井さんが私に聞く。


「あ、うん、 アパートの近くのスーパー、世ってもいい? 冷蔵庫の中何もないから…」


「わかった」


車が走り出し、荒井さんが今後のスケジュールの話をしてくれた。


しばらくは、ユニット活動は控え、それぞれの個人活動を中心に切り替えるという。

私の方に、声優としての仕事も入ってきているから、年開けてからはその仕事に専念する、ということになった。


私は、私を必要としてくれる仕事に、今は打ち込もうと決心をした。
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