彼のヒーローヴォイス
翌朝、早めに起きて朝食を済ませ身支度をしてリビングで父がリビングに来るのを待っていた。
リビングのドアが開き、入ってきた父に言った。
「お父さん、私、碧葉学園に行きます。ただ、医者にはなりません。私にも夢があるの。
それを絶たれるのは、私の人生終わったも同じだと思う。 よく考えた結果の結論です。
だから、受け止めてください。」
言い終えて、頭を下げ鞄を持ち、リビングから玄関に向かった。
玄関のドアを開けると…
「おはよっ!」
「…え…純一…」
白い歯を見せ、得意そうな顔をこちらを向けた純一が、自転車に乗って、家の外にいた。
「お、おはょ…」
私が、今日学校へ行くなんてわからないのに、待っててくれたんだ…
「おし、行くぞー」
自転車のペダルに足を架け漕ぎ出したので、私は慌てて自分の自転車に乗り純一の後ろを走った。
私は今朝、父に言ったことを純一にも伝えようと思いながら、学校への道のりを純一の背中を見ながら走って行った。
校門を過ぎ、自転車を降り、学年の自転車置き場へと向かおうとする純一に声をかける。
「ねぇ、純一!」
「んー?」
「今日の帰り、一緒に帰ってくれる?話したいことあるんだー」
「ん? 今日? オレ、英単語の再テストあるんだけど…」
「うん、待ってるからいいょ じゃ、放課後ね」
「おぅ」
純一との立ち話を、校門へ入ってくる生徒たちが、振り返り見ていったけど、そんなことはもう気にしなかった。
ただ、私の思いを純一はどう思うか、それだけが気になっていた。