彼のヒーローヴォイス

ところが―――――

声優の仕事が緩やかだけれど、少しずつ増えてきた時…

再び、信じられない出来事がおこった


社長が、新規事業に手を広げようとして失敗し、事務所の経営が難しくなった。
苦渋の決断として、他の事務所へ吸収されることになった。


しかも、それは、純一が所属する事務所だった…


私は、もうここで、限界だと思った…
これ以上、活動する意味がない、純一とも、合わせる顔もない…


私は、専務に、事務所を辞める意思を伝えた。


「怜ちゃん…本気なの?」


「はい…夢は、専務と荒井さんに叶えさせてもらいましたから…
大学もギリで2年に上がれましたから、これからは真面目に勉学に励みます」


「そう…残念だわ… 怜ちゃんなら、まだまだチャンスはいっぱいあるのに…」


「いえ、私はもう… 大変お世話になりました。」


すべて、今までやってきたことに悔いはない、
ただ、全てのことをを、すべての記憶を封印したい気持ちだった。

専務に深く頭を下げ、事務所を跡にした。










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