彼のヒーローヴォイス

バイトからアパートへ帰る途中、アパート近くのコンビニで、マリアと待ち合わせしていたのでコンビニへ寄り、マリアの姿を探すと、スイーツコーナーをじぃっと眺めているマリアがいた。


「マーリア? なに? どれ買うの?」


私もスイーツは好きだけど、マリアのスイーツ好きには頭が下がるほどだった。


「うーん、昨日出た新製品なんだけどね、このマンゴーのカットの仕方が気に入らないのよねぇ」


えぇ? カットの仕方…デスカ…


マリアが左右の手にもつカップスイーツを私も見比べるけど、私には同じに見える…


「うーん… 味は変わらないんじゃないの?」


「ううん、マンゴーにも美味しい場所があるのよ、食べるなら美味しい方食べたいじゃない?」


「うん、まぁ、そう、だけど…」


マリアのこのこだわりも、頭が下がるわ…


「あ、私、食パン買ってくるね」


もう少し時間がかかりそうだと思ったので、買いたいものを探し、レジへ向かった。


結局、アパートに着いたのは、コンビニで待ち合わせをした時間の30分後だった。


部屋に入って、マリアは早速買ったものを袋からガサガサと取り出した。


「え、ちょっと、マリアどんだけ買ったのよ!」


決して大きくないテーブルではあるけど、テーブルいっぱいに乗ったコンビニスイーツとPBのお菓子。


「えー、だって、おうち女子会には、これくらい必要でしょぉー」


「にしても、多くないですかぁ? マリアさんっ」


「そーぉ?」


私の言葉を気にするわけでなく、
早速、さっき悩んでいたカップスイーツの蓋をあけ、スマホで写メを撮りはじめた。


そう、コレもマリアの拘りと根気。
必ず、自分が食べるスイーツを写メして、ブログに乗せる。
始めたのは高校生の頃から、っていうから
もう、脱帽だわ。


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