彼のヒーローヴォイス
それから話がとんとん拍子に進み、私とマリアとハルトくんは荒井さんと駅前のカフェで待ち合わせすることとなった。
純一が所属する事務所でも、マネージャー兼総括の仕事をこなしてる忙しい荒井さん
「やぁ、怜ちゃん久しぶりだね! 連絡ありがとう!」
白のチノパンに薄いピンクのシャツを肘までめくった荒井さんが、私たちのテーブルに近づいてきた。
「荒井さん! お忙しいところ、ありがとうございます! どうぞっ」
私は、立ち上がって、私の隣に座るように促した。
店員さんを呼んで、
「荒井さん、アメリカンでいいですよね?」
確認をして、注文した。
「怜ちゃん、よく覚えてるねー」
「ふふ、だって、同じのばっかり飲んでますもんね、イヤでも覚えますよ
あ、それで、話してたカレです。
望月ハルトくんです」
荒井さんの目の前に座ったハルトくんを荒井さんに紹介した。
「はじめまして 望月ハルト、17歳です。」
ペコリと頭を下げたハルトくん。
「荒井です。よろしく」
名刺を渡すと、10秒くらいハルトくんを横から前からじっと眺めた。
「うん、よし! いいじゃないか! で、いつから来れる?」
「「「は?!」」」
「なんだ? 問題でも?」
「荒井さん… もしかして、ハルトくん、事務所に入れてくれるの?!」
「あぁ、そのつもりだけど…?」
運ばれたアメリカンを一口飲んで答えた。
「「「マジでっ?」」」
私たち三人は、手を合わせ、喜んだ。
「まずは、ウチが経営する養成所に通ってもらわないといけないけど、いいか?」
「はい、何もわからないので、基礎から学ばせてください!」
「よし、じゃぁ、ハルトは、未成年だから契約のモロモロ話を親御さんにしたいから
今度の日曜、その名刺の住所へ来てくれ」
「はい、わかりました!」
「お、いい返事だ! じゃぁ、次の日曜待ってるからな。
それと、怜、ちょっと話があるんだが、いいか?」
「え? はい、いいですよ」
「じゃぁ、私たちは、これで失礼するわ、
怜、荒井さん、ありがとうございました。」
マリアとハルトくんは、足取り軽く、カフェを跡にした。