彼のヒーローヴォイス
全ての授業が終わり、純一の再テストが終わるだろうと思われる時間まで図書館で時間を潰して、
それから朝別れた自転車置き場へと向かった。
自分の自転車を出し、校門近くで純一が来るのを待っていた。
すると…
「あの…」
後ろから声をかけられ振り向くと、2人の女の子。
誰だろう…? 名札の色…からすると1年生。知り合いじゃ…ない。
「香坂 怜さん…ですよね?」
校則ギリギリのアゴのラインまでのストレートの黒髪がさらりと揺れる方の子に問われた。
「えぇ、そうだけど…」
2人は顔を見合わせると、一瞬で目尻が上がって、そして私の方を向いた。
「あの、君塚くんに付きまとうのやめてもらえませんか?!」
今度はショートカットの体育系な感じの方の子がキツい口調で言った。
「つきまとう? どうゆうこと?」
自分に身に覚えのないことをあれこれ言われるのは、内心穏やかではない…。
「1年生の女子、何人かが、あなたと君塚くんが一緒のところを見てるんです。
君塚くんは、私たちの王子なんです!
勝手に彼女面しないでくださいっ!!」
お、お、王子…デスカ…。 ふふっ…。純一って、意外にモテるんだ…。
「黙ってないで、なんとか言ったらどうなのっ?!」
2人に詰め寄られ、圧倒された状態じゃ、何も言えないデショ?
普通…。