彼のヒーローヴォイス
こんなハズじゃなかった…。
3日間だけのつもりだったのに…。
バイト3日目の最終日、地方イベントに行っていた声優さん2人が、
大雨で電車が遅れていて予定の時間に帰ってこなかった。
「怜、他のルート、あるか?」
「うーん… 遠回りになるけど、タクシーでそこから、反対の駅行って、そこからなら動いている電車あるから乗ればいいわよ 」
「そうか、おい、三ツ井、聞いたか?」
電話をスピーカーにしていて、私の声も三ツ井マネージャーにも聞こえていた。
「はい、わかりました。」
「気をつけて帰ってこいよ」
その日は、他のイベントに出ていて、大雨の影響で帰りが遅くなる声優さんたちがいたので
私と荒井さんは、彼らになにかあるといけないので、
事務所で帰りを待っていた。
23時を回った頃、事務所のドアが開き、誰かが入ってきた。
「ただいま、戻りましたー」
効き覚えのある声に、パソコンの前でウトウトしていた私は、目を覚ました。
「お、純一か、お疲れ 打合せ大丈夫だったか?」
「はい、大丈夫っす それより、なんで、怜 いるんだ?」
私の顔をじっと見て、不思議そうに言った。
「あぁ、おとといからバイトしてもらってたんだ ま、それも今日で終わりだけどな」
「え? 終わりなんだ?」
残念そうな表情をした純一。
そんな顔、反則だよ純一…。