彼のヒーローヴォイス

純一のマンションに着いて
途中スーパーで材料と、しばらく冷蔵庫に入れておいても大丈夫な、飲み物などを買った袋を手に持ち、エレベーターに乗った。


「そっちの袋」

飲料水が入った袋を純一が、私の手から奪う。

「わ、純一、大丈夫だょ」

片方が軽くなったけど、それ以上に
嬉しくて、心がかるくなった。

マンションの部屋に着き
純一はバスルームへ向かった。
その間に、ハンバーグとサラダとスープを作った。

テーブルに作ったものを並べていたところに
バスルームから純一が出てきた

「なんで、オレの分だけなんだ?」

当然のように純一の分だけだと思ったんだけど……


「オレ1人食うワケにいかないだろ? 怜も一緒に食えよ」


ジャージ素材の短パンに
上半身は何も着ず
肩にタオルをかけた純一が
私の目の前にきた。

「あ、えっと…」

目のやり場に、とっても困る…。

「わ、わかった 食べたら帰るからね」

私の分も盛り付けて、
テーブルを挟んで食事をした。


会話は普通にしながらだったけど、
スケジュールや、新しいアニメのオーディションのことなど、
ほぼ、仕事のことで、
食べながら、ふと
昔、お互いの家でご飯をたべたりしたことが、よぎってしまった。

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