彼のヒーローヴォイス

年が明け、寒さが一段と厳しくなった頃、学校から帰宅すると

玄関に、私宛の白い封筒が届いていた。

靴を脱ぐのもままならない状態で封筒を開けると…

大きく中央に書かれた【合格】の文字。

「良かった…。」

ホッと胸を撫で下ろし、玄関に座り込んだ。


「……あ」


鞄の中のスマホを取り出し、一番に結果を伝えたい相手の名前を探してボタンを押す。

呼び出し音、2回、3回…。

あ…、まだ部活してるのかな…。4回、5か…、ガチャ…。


「怜? どしたー?」


いつもの純一だ。


「あ、うん…、…とね…」


なんだか、照れくさくって言い出しにくいな…


「……受かったよっ」


「何が?」


え…そんな返事が返ってくるとは思ってなかったぞ…。


「何がって……。碧葉学園…だけど…」


「ふーん…。……って…マジでっ?!」


「う、うん」


良かった…。わかってくれた。


「おぉっ! すげーじゃん! おめでとー!やったな!怜!」


「うんっ」


私より、純一が喜んでくれたのが、何よりも嬉しかった。

スマホの通話を切ると、冷たい床に座り込んでいたから足が冷えていたことにようやく気付いた。

鞄を拾い、靴を揃え封筒を持ちリビングへと向かった。
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