K
プロローグ
……口のなかが、甘い味がする。
乾燥した部屋はしんとしていて、電気もつけていないのでとても暗い。
空けられたままのカーテンごしに、となりの公園の木がざわざわと波打っているのが見えた。
カーテン、閉めないとまた怒られる。
そう思って起き上がろうとするけれどうまくいかない。
腕に、うまく力が入らない。
背中があり得ないくらいに熱を持って、軋みだす。
起き上がれなくても、いいや。
指に力を入れて、畳をひっかきながらカーテンに近づく。
足にひやり、と何かがついた。
全身にぞわりと悪寒が走り、思わず身をすくめる。
足もとを見る。
これは、水たまり…?
ちがう、水はこんな色をしていない。
これは、
これは…
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