K
俺たち4人のなかで一番幼い陽世子が、最初に社会人になるなんてなんだか不思議だ。
高校のころは、それこそ何かあるたびに顔を真っ赤にして泣いていたというのに。
陽世子は俺にとってとても大切な、大切な女の子だ。
彼女の泣く姿なんて見たくない。
いち早く社会に出る陽世子が心配だ。
「まあ、大変かもしれないけどがんばるよ」
そう言い切った彼女をみて、まるで父親にでもなったかのような気分になる。
しかしそう感じたのは俺だけではなかったようで、陽世子になにかが飛びついた。
「健気!もう!さすが私の陽世子ね!」
彼女…沙雪もまた陽世子を溺愛している一人だった。
それを見て螢は「とられちゃったな、香西」とくすくす笑った。
「うるさい」
「あら、香西なんかに陽世子はあげないわよ?まあ螢くんだったら私も身を引くけど」
「まじ?沙雪、わかってるよね」
「おい、お前ら…」