K
事件
それからは散々だった。
混乱する頭で、警察を呼ぶとすぐに警察署まで連行され、ほとんど一日中質問責めだった。
見たことと昨日の自分の行動と、自分は
やっていないということだけただひたすら主張した。
まるで全世界から疑われているようだった。
おかげで署を出て螢と陽世子の顔を見たときはひどく安心した。
「洋一!」
陽世子は俺に駆け寄ると、腕をぎゅっと掴みその小さなおでこが肩に当たった。
ああ、陽世子のにおいだ。
「陽世子…」
「香西」
「螢…俺…っ」
立ちすくんでしまう。
螢が、困ったように微笑んだ。
「いいよ。今は。とにかく、家に帰ろう」
螢に促されて足を動かす。
俺にぴたりとついていた陽世子の肩を押す。
「陽世子も、ほら」
「うん…」
「許してやって。洋一が、警察連れてかれたって言ったら今日一日中ずっと心配してたんだ」
「そう、か…陽世子、俺なら大丈夫だよ」
「ん…」
それでもまだ不安気な様子だったが、俺たちはゆっくりと歩きはじめた。