K


自分で言って、ぞっとする。

しかし、今までちぐはぐだった事柄がやっと一致したような感覚だった。



「でも、そうなると…」

「うん。犯人はこの研究室に関わりのある、俺たちも知ってる人物かもしれないな」

「そんな…。でも、検討もつかねえよ」

「でも、そうだとしたらあの紙の意味もきっとあるんだろう」




あの紙、とは犯人の残したあるメッセージのことだ。


俺が吉野美穂子を発見した研究室の床に落ちていた。

どこにでもあるような茶封筒。



その中には紙が二枚、三つ折りにして入っていた。




一枚は、真っ白な白紙の紙。


もう一枚は、文字がタイピングされていた。







"Kに捧ぐ"




そして、





"4"










螢が自販機の前で立ち止まる。


もう暗くなってきていて、蛍光灯の強い光に虫が群がってきている。


まだ蝉は鳴いている。



「ほら」



螢に缶コーヒーを渡される。

ひんやりとしていて、汗ばんだ首にあてると気持ちが良い。


「さんきゅ」

「1日おつかれさん」



その場で半分ほど、飲み干した。

甘い、カフェオレ。

俺は苦くてカフェオレじゃないと飲めない。



「俺はさ」

「ん?」



螢がおもむろに口を開く。



「犯人、次も殺すと思うんだよね」

「え…」

「これだけじゃ、終わらない気がする」




< 24 / 65 >

この作品をシェア

pagetop