K
自分で言って、ぞっとする。
しかし、今までちぐはぐだった事柄がやっと一致したような感覚だった。
「でも、そうなると…」
「うん。犯人はこの研究室に関わりのある、俺たちも知ってる人物かもしれないな」
「そんな…。でも、検討もつかねえよ」
「でも、そうだとしたらあの紙の意味もきっとあるんだろう」
あの紙、とは犯人の残したあるメッセージのことだ。
俺が吉野美穂子を発見した研究室の床に落ちていた。
どこにでもあるような茶封筒。
その中には紙が二枚、三つ折りにして入っていた。
一枚は、真っ白な白紙の紙。
もう一枚は、文字がタイピングされていた。
"Kに捧ぐ"
そして、
"4"
螢が自販機の前で立ち止まる。
もう暗くなってきていて、蛍光灯の強い光に虫が群がってきている。
まだ蝉は鳴いている。
「ほら」
螢に缶コーヒーを渡される。
ひんやりとしていて、汗ばんだ首にあてると気持ちが良い。
「さんきゅ」
「1日おつかれさん」
その場で半分ほど、飲み干した。
甘い、カフェオレ。
俺は苦くてカフェオレじゃないと飲めない。
「俺はさ」
「ん?」
螢がおもむろに口を開く。
「犯人、次も殺すと思うんだよね」
「え…」
「これだけじゃ、終わらない気がする」