K
「………っ」
螢は、たまにこういう顔をする。
冷徹な、瞳。
綺麗な顔をしているから、余計に迫力がある。
「なにを根拠に、だよ」
いや、根拠、など。
わかりきった答えだ。
俺だって考えたくはなかった、が。
「"Kに捧ぐ"か…。
そのKっていうのは、なんなのかな」
「わからないな。なにかのイニシャルか…Kか、KILL、KILLARキリストはCだし…]
「もしかしたら団体とか宗教とかかも。それか、Kというイニシャルを持った人物」
「俺はそう思ったけど」
Kなんてアルファベット、ありふれすぎている。
正直これだけじゃ検討もつかない。
「なにかかしらの意味はあるだろう。わざわざ証拠を残したんだ。
”捧げる”という言葉からして、犯人本人のことではないのだろう」
「犯人が、その”K”に向けて、殺したということになるよな」
だとしたら、そうとうこの犯人は狂ってる。
あんな、殺人をだれかに、なにかに”捧げる”なんて。
「目的は、なんなんだろう。
”K”に、吉野美穂子を”捧げた”のか
それとも殺人自体を”捧げた”というのか」
話しているだけでも、おかしな話だとわかる。
「わからない。
Kなんてイニシャル、この大学内だけでも数百人はいる。
なんの手がかりにもならない。
でも、"4"はどうだ?」
白い紙に、無機質な文字。
"Kに捧ぐ"
"4"
「例えばこの4がカウントダウンだとしたら」