K
自分も教壇の椅子に腰掛ける。
持参していた資料を手に取るが、見る気にならない。
外を見ると、青々としたイチョウの葉の間から夏の日光が差し込んで、きらきらとしていた。
空調の効いた教室は居心地がよく、外の熱さを考えると屋外に出るのは苦だった。
ふと香西のほうを見ると、もううとうとしているのか目をこすっていた。
見ているのがばれて、「ちゃんと仕事しろよ」と口パクされる。
お前になんでそんなことを言われなければならない。
「寝るなよ」と言い返してやる。
すると肩をすくめやがった。
調子のいい奴だ。
手元のストップウォッチを見る。
あと40分もあるのか…
これだから、試験監督の手伝いは嫌だ。
渋々俺は資料を取り出すと、適当なページを開いた。
文字の羅列を見るだけで、眠気が襲ってきそうだがこのままぼーっとしていても眠気が襲ってくるのは明確だった。
深呼吸をして、文に集中する。
言葉で頭をいっぱいにするのは、得意だった。