K


「はああ、眠かったーーー!!」




研究室に戻ってきて、来客用のソファに身を投げると、後ろからため息が聞こえた。


「お前、半分以上寝てたろ」

「違うよー精神統一してたんだよ」

「バカヤロウ」


ポカッと手元の教材で殴られた。




「これで同じ給料ってのが許せない…」

「ははは、悪かったなー」

そういうとまた殴られた。




「螢、さっきまた連絡先聞かれてたろ」

「お前…そういうとこだけ見てるよね」

「俺の洞察力は鋭いぜ?んで、教えたの?」

「んなわけないでしょー、恐ろしい」


螢は笑って言った。



失礼だが、だろうなと思った。

ごろりと寝転がって天井を見る。



見慣れた里村研究室の天井は、無機質な蛍光灯が並んでいる。

奥には精密機械室や暗室、培養室や動物室がある。


大学の中でも大きな研究室で、ここで研究をしたいがために入学する学生も少なくはない。
微生物学を中心に、里村教授のもとで多くの学生が研究に励んでいる。

俺たちもその学生のうちだ。

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