K


螢は、大事な友達だ。

そんな理不尽に、彼のことを虐げられたり落としいれられたりなど、俺は許さない。





「あ、あと陽世子には内緒な」

「え?相田さん?」

「あいつに聞かせたら心配どころの話じゃなくなる。無駄に傷つけたくないのよ」



俺がそう言うと螢はくすくす笑った。



「お前、本当に過保護」

「うるせえ」

「相田さんも、こんな保護者が校内にいるんじゃ彼氏もできないんじゃないか」

「別に俺はあいつの保護者なんかじゃねえよ」

「じゃあ、お兄さん?」

「ばか、あいつのが誕生日はやい」


そう言うと、また螢は笑う。


思えば、このときはじめて螢の素の笑顔を見たような気がする。
数ヶ月友達をやってきて、やっとだった。


こんな風に、陽世子の話をしたり日常のほんのささいなことに対してたまに見せる顔。

俺はそんな螢を見ると、彼の本来の姿を垣間見た気がしてなんとも嬉しい気持ちになるのだった。




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