K


そんな関根の期限をとるように、加藤が慌ててパンフレットのイベントの部分を指差す。


そこには「ミスコングランプリ!今年の優勝者は誰だ!」という派手な見出しとともに数人の女性の顔写真が載っていた。

その中に沙雪の写真もあることに今気づいて二度見する。
こんなところでも、彼女の才能は生かされている。



「あ、ほんとだ〜やっぱりみんな美人だね」

「もうすぐ結果発表だよ、見に行かない?」

「いいねっ」




次の行き先が決まったと同時に、タイミングよく人が展示ブースに入ってきた。


それを見て二人は「じゃあ、せんせいまたね」と言ってブースから出て行った。



暇つぶしがなくなった俺は、今しがた話題に上がったミスコングランプリについてぼんやりと考えた。




ミスコン、と聞いてやはり一番に名前が挙がるのは百合さんだった。


俺と同年代の学生はみんなそうだろ。


3年連続という快挙に、圧倒的な存在感。



思い出されるのは、グランプリのティアラを被った木下百合の透き通るような笑顔だ。


彼女は初年度こそ逃したものの、2〜4年の間ずっとミスコングランプリの座を守っていた。


院に入ってからは院生だからと言って辞退してはいたものの、毎年陰ながら票を入れる者が多く、院にいた2年間のミスコングランプリはさぞ居心地の悪いものだったであろう。






< 59 / 65 >

この作品をシェア

pagetop