K



「おっお酒がきたね」



陽世子はドアが開くなりそう言った。



「遅いよ、待ちくたびれたんだから」

「えっ、遅かった?ごめん」



確か20時までに来て、と言われた気がするのだが。

時計を見ても、まだ19時半である。




「だって、螢くんも沙雪も手伝ってくれたからはやくできたんだもん」


だから、はやく。

俺の持っていたビールやチューハイをさっと受け取ると、手慣れた手つきで冷蔵庫に入れていく。


ふんわりとした髪が、彼女が動くたびに揺れる。



「もう全部できてるの。あとは洋一だけ不足だったの」

「わりーな」

「いいよ、研究忙しいんでしょ?お疲れ様。ほら、はやく食べよ」

「うん」



1Kの陽世子の部屋は、陽世子らしい家具や小物で溢れている。

四人も大人が入れば、まあまあ狭いが、それでも彼女らしく整理整頓されていて居心地がよい。



大学になって一人暮らしを始めた当初は、彼女がひとりでちゃんと生活できるか不安だったが今では俺の生活レベルのほうが低い。


部屋いっぱいに、陽世子の匂いがする。



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