K
部屋にはいると、既に螢と沙雪がくつろいでいた。
「わりー、待たせた」
「おー遅いんだよ香西。陽世子におあずけくらってた」
「まじ、悪い」
小さなテーブルの上には陽世子が作ったのだろう、美味しそうな料理が並んでいた。
唐揚げ、サラダ、チーズ、おいなりさん、ハム
「あっ、洋一手伝って」
陽世子に渡されたスープボウルにはかぼちゃの入ったシチューが入っていた。
どれも彼女の好物ばかりだ。
「さあ、食べよ」
全員が座ると、陽世子の号令を合図にみんなが一斉に食べ始めた。
こうしてたまに陽世子の家で、俺たちはテーブルを囲む。
大概、料理好きの陽世子が作りすぎた、と言って収集をかけたり、冬には鍋をすることが多い。
陽世子は俺たちと同じ大学で、栄養学を学んでいる。
今日は彼女の就職祝いだった。
「今日は、螢くんが買い物手伝ってくれたの。だからいつもよりいっぱい買っちゃって、作りすぎちゃった」
「作るのはあんまり手伝えなかったけどね」
へえ、螢は陽世子と買い物に行ったのか。
あいつもマメだ。
「わたしのキッチン、狭いから。でも沙雪が手伝ってくれたし」
「いいのよ、あれくらい」