幸せにしてあげたい
「梨々香、よく聞いて。俺まだ完全にフってはいないぞ。」
「ほぇ?」
下を向いて泣いていた梨々香が、おもいっきり顔を上げて俺を見ている。
「『まだ梨々香とは付き合えない』って言っただけだぞ...」
「どういうこと?...」
「俺さ、まだ美穂のこと好きなんだ。」
「美穂さんて前の彼女さんだよね?」
「うん。まだ、美穂のこと好き。そんな気持ちで梨々香と付き合えないよ。」
「え、どうして?」
「だって二人の人が好きなんだぜ?梨々香は嫌だろ?」
「ううん、それでもいいよ。」
「えっ.....でも、俺は二人が好きなまま付き合えないから。」