幸せにしてあげたい
「梨々香、前にいじめられてたんだ...だから、俺は梨々香を幸せにしてあげたい...守ってあげたい...」
「....................」
「美穂の最後のわがままをきくんだ...」
「梨々香と絶対幸せになるから、美穂にはどこかで見守っててほしいな.....」
これで美穂に伝えたいことは、全部伝えられた。
美穂からは、もちろん一言も返ってくることはなかった。
でもきっと美穂は、笑顔でとおいとおいどこかで俺と梨々香を見守っててくれるはず。
「美穂、また会いにくるからそれまで待ってて...」
そう言って家に帰った。
帰る途中、初めて梨々香とちゃんと手を繋いだ。
小さくてかわいい女の子の手、美穂とはちがう手。
俺のそばには、ずっと梨々香がいる。