云えないから。
和泉は、菫鈴にどーやって出会ったのか、どういう風に口説かれたのかを聞いた。

「…まだ付き合ったばかりなのに、音信不通だし、教習所でもあんまり…。」

和泉は、菫鈴の話を聞いていて、遊ばれてると思ったし、当然だと言ってあげたい気もしたが、菫鈴の一途さが哀れになっていたし、こんな状態なら楽に落とせると確信していた。

「俺でよかったら、話聞くから。
交換しようぜ?」

菫鈴は、優しさだと思い込んで、嬉しくなって、番号交換をした。
それと、和泉も少し自分を気になってるのかと思った。

菫鈴は和泉に少し惹かれていたが、彼氏が出来て間もなかったし、眞子達の心配をふりきって、散々、高瀬が好きだと言っていたことから…

「タッ君といい感じだったね?」

眞子達にからかわれても…

「興味ない。」

と、強がった。
でも、和泉から何かしら今日中に連絡があれば、和泉は菫鈴を気になっているんじゃないかと思っていた。

一方、和泉もからかわれていた。

「おまえさ、菫鈴ちゃん狙い?
ま、いいけどね。俺は眞子ちゃんだから。」

青山は、和泉が菫鈴に気があることを不思議そうにした。
和泉のタイプとは、全く違うし、菫鈴は美人とは到底言えないからだ。

「いやいや。菫鈴ちゃんの彼氏って、43歳の自動車学校の先生らしくて、その話が興味があっただけ。」

菫鈴は、和泉にとってネタだった。

「マジ⁉︎」

青山も白石も飛びついた。

「ま、騙されちゃった感じだったけど。
彼氏持ちだから、手軽にってとこ。
まだ、受験終わってねーし。」

和泉は、本気で東大をねらっていたし、青山も白石も、センター試験が終わり、三人はこれからが受験本番だった。

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