強がりあいっこ。


しばらくそうしていたんだけど、


それでも大輔くんはなんにもしてくれない。



もう!!


私は本気で拗ねて

くるりと向きを変え、
まだ涼やかな顔で本を読む大輔くんの胸に飛び込んだ。



「うぁっ」


いつもなら
熱中して本を読んでるところを邪魔されると

怒って不機嫌になる大輔くん。



でもいーもん、

無視する大輔くんが悪いんだ!!



私の顔は大輔くんのシャツに埋まっているから
大輔くんの表情は見えない。

どんな表情をしているのかは分からないけど


私はぎゅっと力いっぱい大輔くんを抱きしめた。




「…奈々」



…う、うおおおお、

やっぱごめんなさい!

怒らないで!!



静かに名前を呼ばれて

意地なんか吹っ飛んだビビリな私は


すぐに大輔くんの胸から離れようとした。


ガバッ


…が、
それは大輔くんの腕によって
呆気なく阻止された。


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