【短編】七夕物語~遊び人との恋~
願い事
「奈々ちゃん、昨日、流れ星に何てお願いしたの?」
手を繋ぎながら歩いていると、彼は急に聞いてきた。
私が顔を上げると、彼は少し照れくさそうに顔をそらす。
本当に、この人は遊び人なのかな。
恋愛初心者の高校生みたい。
「ぷっ」
と思わず吹き出してしまうと、「なんで笑うねん」とふてくされる。
この反応も子どもみたいでかわいい。
「孝太郎くん、かわいい!」
とからかうと、真っ赤な顔になって顔をそらす。
「ごめん、願い事ね。う〜ん。孝太郎くんが教えてくれたら、教えてあげる」
だって、やっぱり恥ずかしいもん。
「俺?俺は、奈々ちゃんとずっと一緒にいられるようにって」
さっきまでの真っ赤な顔ではなく、”当たり前だろ”と言わんばかりの表情で、さらっと言った。
「なんかズルイな」
こんなのズルイ。
さっきまで、恋愛初心者だったのに、今は一気に恋愛上級者だ。
勝てる気がしない。