【短編】七夕物語~遊び人との恋~
「大切なこと?」
何のことだろう?と彼の顔を見上げて聞くと、彼は体ごと私の方に向けて、真剣な眼差しを向けた。
その真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうだった。
「奈々ちゃん、俺は君のことが好きです。付き合っていただけますか?」
やっぱりズルイ。
改めて、こんなストレートに言うなんて。
急に体中が痺れるような感覚に陥ったかと思ったら、頬が濡れていくのがわかった。
目の前の彼は、自分の指でその涙をぬぐってくれた。
「はい」
涙で、ぐちゃぐちゃになった顔で、彼の顔を見ると、「そんなかわいい顔して、どっちがズルいんだか」と真っ赤な顔をしていた。
そして、私にキスをした。