殺人鬼械の痛み
2021年 ――翼の追憶





人が沢山集まっている休日の広場に、道着を着た十代の少女がフラリと現れた。
少女は無表情で、その場にいる人を手当たり次第、片っ端から全力で殴り始めたそうだ。
殴られた人はどういうわけか、傷が裂けて血が吹き出し、当然のように血飛沫が上がる。


「キャー!!!!」


血飛沫を上げた人はそのまま倒れ、ピクリとも動かなくなった。
ドクドクと流れ続ける血。
それを目撃した人々は悲鳴を上げ、広場は騒然となった。

驚きすぎて動けない人、全力で逃げようと駆け出す人、逃げようとして躓いてしまう人。
道着を着た少女は、それらを全く区別する事無く、とにかく逃げ惑う人達を追い掛け回し、無表情で命を失うまで殴り続けるまで殴り続けたらしい。
殴られた人々は痣だらけになり、傷が張り裂け、動脈が切れて天高く血を吹き上げ、大きな音を立てて倒れていった。

――――やがて広場で休日を楽しんでいた人達は一人も居なくなり、死体がうずくまる血の海には、道着を着た十代の少女だけが一人だけ残った。
道着の少女は無表情のまま、何も言わずに立ち去ったそうだ。



……日本は土地が狭いのに、その割には人口が多い。
その問題を解決しようとして、政府は有史に残る、前代未聞の最悪の選択をした。
―それは。





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