殺人鬼械の痛み





静華は、席に座った春奈に振り向く。


「初めまして、うちは国島静華。宜しくね」

「え……宜しくお願いします」


驚いたような春奈に、静華は微笑んでから前を向いた。



その日の休み時間。
春奈と静華の席の周りには、春奈に質問しようとする生徒達が殺到していた。


「得意科目は?」

「お父さんは何の仕事してるの?」

「好きな食べ物は?」

「……え……えっと……」


質問責めにされて答えられずに困っている春奈に、静華は助け舟を出す。


「そんな一度に質問されたら、長山さんだって答えられないよ。困ってるじゃん」


春奈達に生徒達が群がる中、翼はそれには参加せず、離れた席に座ったまま、腕組みをして春奈達の話を聞いていた。
春奈は、一つ一つの質問に、次々と答えていく。


「得意科目は?」

「……分かりません」

「お父さんの仕事は?」

「……ロボットや機械の研究します」

「へぇー、凄い」

「好きな食べ物は?」

「……えーっと……」

「あんま好き嫌いとか無いのかな?」


また質問の答えに詰まってしまった春奈に、静華が再び助け舟を出す。


「……かもしれないです」






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