殺人鬼械の痛み





平日の午後の、のどかな自然公園。
ゲートボールを楽しむお年寄り達、公園デビューしたばかりの我が子を遊ばせるママさん達、小学校の遠足でレジャーシートを広げる子ども達と担任……、それぞれの方法で楽しく過ごす、色んな人達が居たそうだ。

そこに大きな日本刀を片手で持った十代の少年が現れ、砂場で遊ぶ子どもを無表情で思い切り刺し、勢い良く引き抜いた。
吹き上がる血。


「ギャッ!!」


痛みで悲鳴を上げる子ども、それを見てパニックになる母親、慌てふためく周りの人達、泣き出す小学生。
日本刀を引き抜く時に返り血を浴びるものの、眉一つ動かさない十代の少年は、迷わず次の人を刺したらしい。
無表情の少年が繰り返す、刺す、勢い良く引き抜く、血飛沫が飛ぶ、という行動。

――――間もなく、自然公園からは人気が無くなり、恐れをなしたか小鳥のさえずりすら聞こえなくなった。
大きな切り傷を一つ残す人達が多く倒れ伏し、自然公園の緑は血で赤黒く染まった。
顔も服も真っ赤に血塗れになった十代の少年は、相変わらず眉一つ動かさずに佇んでいたそうだ。



……今から九年前、政府は人口を減らす為に、殺戮アンドロイドに人を殺させまくっていた。
…今考えても、吐き気がするような政策だよな。
それは、そのまま"殺戮アンドロイド事件"として残った。





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