殺人鬼械の痛み
しかし春奈の返答は、曖昧だった。
「……よく分かんないけど、危険だからって父さんに止められてるの」
「何それ? ……危険だからって……。春奈の父さんって、少し過保護なのかな?」
想定外だった答えに、静華は首をかしげざるを得なかった。
「……で、此処にtoが来るから、この後の動詞は原型になるのね」
「ふんふん、なるほどね」
放課後。春奈は静華に、英文法の説明をしていた。
校庭では運動部が練習に勤しんでいて、その声は教室にも届いていた。
静華が頑張って問題を解いている間、春奈は聞こえてきた運動部のかけ声に反応して、校庭を眺めてみる。
すると、翼がジャージ姿で、サッカー部の練習をしているのが見えた。
春奈は真剣に練習をする翼の姿に、思わず見惚れてしまう。
「春奈、コレ分かんないんだけど……。……春奈?」
静華の声で我に返った春奈は、慌てて静華のノートを覗き込み、英文法の説明に戻った。
その日の夜。
サッカー部の練習が終わった翼は、自室の勉強机に広げられたノートパソコンで、動画投稿サイトを見ていた。
一瞬だけトップに目を止めたが、ダラダラと新着動画の一覧を眺める翼。
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