殺人鬼械の痛み
2029.7.××
学期末の放課後。もうすぐ、一学期が終わる。
静華が教室で一人、英語の問題集を解いていた。
そこに、春奈が荷物を取りに、教室に入ってきた。
「あ、静華」
静華は集中してるのか、春奈の声には反応しない。
春奈は静華の席の横に立った。
「静華、何してるの?」
静華はわざとらしく溜め息を吐くが、春奈の顔を見る為に顔を上げる事はしない。
「……英語の問題」
「ふうん。分からないなら教えるよ」
静華はようやく顔を上げて、春奈の顔を見た。上げた顔を、思い切り顰める静華。
「いらない。ってか、気が散るから出てって!」
春奈は静華の機嫌の悪さを察したのか、何も言わずに荷物だけ持って、教室を出て行った。
その夜、春奈は自室で、翌日の準備をしていた。
時間割と教科書を確認する。
急に脳内に、××遊園地のメリーゴーランドが回っている光景が浮かんだ。
春奈は見覚えのないその光景に、頭をかしげた。
同じ頃、翼は自室で勉強机に向かっていた。
勉強机には、難関私立高校の過去問題集が広げてあった。
翼はふと、遊園地で撮った、唯と一緒に写った幼き頃の翼の写真を見た。
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