殺人鬼械の痛み

2029,10,○○






文化祭も近付いたある日、三年六組の生徒達は、手分けして文化祭の準備をしていた。
しかし人手が足りないらしく、静華は一人で黒板に絵を描いていた。
教室の装飾に使う為の段ボール箱を運んでいる春奈は教室に入ってきて、床に段ボール箱を置いて、両手をパンパンとはたいた。少し伸びをした春奈は、一人で黒板に絵を描く静華に気付く。


「静華、一人でやってるの? 手伝うよ」


しかし静華は、春奈を無視した。


「静華? 静華ってば」


静華は、春奈を無視し続けた。


「……静華、聞いてるの?」


静華は反応しなかった。
静華は、反応するつもりはなかった。




その翌日も、三年六組の生徒達は、文化祭の準備をしていた。
教室の装飾の為の大きな荷物を持った春奈と静華と愛は、荷物を両手で抱えて、階段を降りていた。
静華はわざと、前に居る春奈を突き落とした。


「わっ!?」


春奈は思わず荷物を手離してしまう。転落する荷物、転落する春奈。
春奈はそのまま下まで転げ落ちてしまうが、幸いにも先に落ちていた荷物がクッションとなり、春奈は強く打ちつけずに済んだ。
使い物にならない程、ものの無残に潰れる荷物。





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