その恋愛は、恋愛ですか?
 もちろん、このことで喧嘩をしたことはある。


 けれど、「サークル仲間と遊んじゃいけないの?」とか、「お前もうちのサークルに戻ってくればいいじゃん」と言われれば、返す言葉が見つからない。



 いや、本当は「女の子もいる状態で朝まで遊んでたんでしょ?」とか、 いっそ、「サークルに気になってる娘がいるんでしょ」なんて言いたかった。

 けれど、こういうことを言う女は世間様では『ウザイ女』ということになってしまう。



 それに、私の心配どおりに彼が浮気をしていたとしても、はいそうですと白状するわけがないし、

 白状されたときはきっと浮気が本気になったときだろうから、本当は問い詰めるのが怖いのかもしれない。



 ちなみに、私も以前は彼と同じサークルに所属していたけれど、大学4年生になってすぐに、研究室のゼミや卒論で忙しくなってきたこともあって抜けた。


 そもそも、4年生は夏になると引退するのが基本なのに、9月になった今でも彼はまだサークルに参加している。


 よほどサークルが楽しいからなんだろうけれど、他の可能性を疑ってしまう。


 だって、私と彼が付き合うきっかけになったのもサークルだったから。


 まあ、そうでなくとも、サークル仲間と遊ぶほうが私といるよりも楽しいっていうのが伝わってくるから、辛いんですけどね……。



「でさ、朝まで田辺さんを慰めてたんだよ。あの娘のアパートで」


「みんなで?」



 つい、出てしまった。


 皆で慰めてた、に決まってるのに。



「あたりまえじゃん。
でもみんな途中で帰っちゃうもんだから、結果的には俺が朝まで愚痴に付き合わされるハメに」



 そう言って、彼はケラケラと笑った。



 ようするに、朝まで後輩の『カワイイ』女の子の家に二人っきりでいたというわけですはい。


 しかも、失恋で傷心中の『カワイイ』可愛い女の子。


 大事なことなので二回言いました。
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