その恋愛は、恋愛ですか?
 話し終えると、先輩は難しい顔をして頭をぼりぼりと掻いた。



「話は分かった。
まあ、あんたが心配するのも分かる。
けど、彼氏が浮気をしてるって証拠もないから、なんとも言えないかな。
もしかすると、浮気なんてしていないのに、それを疑われて一気に冷めちゃったって可能性もあるからなぁ」


「そう、ですよね……。でも、どうしたらいいか、わからなくて……」


「そんなん、誰にもわかんないよ。あんたにしか」


「……はい」



 先輩の言うことは、いつも正しい。


 もしも適当な友達だったら「彼氏、ぜったい浮気してるんだよ。依子は悪くないって」なんて、気休めをくれる。


 それはそれで優しさだと思うけれど、今はそんな慰めなんていらない。


 やっぱり、先輩に相談してよかった。



 そうだよね……。

 私がしっかりしないと、だよね……。



「あっ、でも一人だけ、解決してくれるやつがいるかも……」



 先輩が思い出したかのように唐突に呟く。


 一瞬、その言葉の意味が、よく分からなかった。


 いや、分からなかったと言うより、信じられなかった。


 この張り裂けそうな胸の痛みを、取り払ってくれる人がいる!?



「だ、誰ですかその人!?」

「一応プロの恋愛アドバイザー、みたいなもんかな。あー、でもあんまり紹介したくないなぁ……」



 恋愛アドバイザー。

 あんまり聞かない職業。

 圭介と上手くいっているときだったら、きっと鼻で嗤っていただろう。

 だけど、今の私にとってはいかにも頼りになりそうだった
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