その恋愛は、恋愛ですか?
「ヨーコちゃん、いらっしゃい」
カウンター越しに先輩に声をかけたのは、マスターらしき男性。
先輩は軽く手を挙げてそれに応えると、マスターの正面に腰を掛けてこちらに手招きをした。
「おっ、今日はめずらしく女の子の連れかい?」
マスターが歯を見せてそう言うと、葉子先輩は「勘弁してよ」と言って手首を振った。
いつもは男の人と来てるのかな。
私がおずおずと先輩の隣に腰をかけると、マスターはすぐに「何にする?」とメニュー表を指さした。
「私はいつものでいいわ」
「わかってるよ。そっちの可愛いお嬢さんに聞いたのさ」
私が慌ててメニュー票を指でなぞっているうちに、マスターは先輩の目の前に淡い小麦色のお酒が入ったグラスを置いた。
バーなんて来たことのない私は、何を頼めば変な顔をされないのかと悩んでしまう。
なんだっけ、ドラマとかで大人がよく飲んでる、えーっと、ドライ……ドライ……マタニティー?
「この子も私と同じのでいいよ」
先輩は私の困惑ぶりを察してか、頭を撫でながらそう言ってくれた。
ほどなく目の前に置かれたグラス。
私はその小麦色のカクテルを口に含んで、ため息を漏らす。
「美味しい」
するとすぐに、マスターがニヤリと笑って親指を立てた。
そしてそっとメニュー表の『シャンディ―ガフ』の文字を指さしてくれた。
ひょっとして、このマスターが恋愛アドバイザーさんなのかな。
いかにも女性慣れしてそうだし。
マスターは、漫画やドラマに出てくるような、ベストとカッターシャツを着た上品な感じじゃあなくて、ダボッとしたTシャツに所々が破れたジーンズを履いている。
首からは金のネックレスがぶら下がっていて、左手の指にはごつごつとした指輪が二つ、はめられていた。
40才くらいかな?
無精ヒゲと長めの髪の毛のせいで年はよく分からないけれど、派手な見た目とは裏腹に、瞳と物腰はとっても優しい。
「先輩、もしかしてマスターがアドバイザーさんですか?」
マスターがDJブースに入ってレコードを弄っている隙に、葉子先輩に尋ねる。
カウンター越しに先輩に声をかけたのは、マスターらしき男性。
先輩は軽く手を挙げてそれに応えると、マスターの正面に腰を掛けてこちらに手招きをした。
「おっ、今日はめずらしく女の子の連れかい?」
マスターが歯を見せてそう言うと、葉子先輩は「勘弁してよ」と言って手首を振った。
いつもは男の人と来てるのかな。
私がおずおずと先輩の隣に腰をかけると、マスターはすぐに「何にする?」とメニュー表を指さした。
「私はいつものでいいわ」
「わかってるよ。そっちの可愛いお嬢さんに聞いたのさ」
私が慌ててメニュー票を指でなぞっているうちに、マスターは先輩の目の前に淡い小麦色のお酒が入ったグラスを置いた。
バーなんて来たことのない私は、何を頼めば変な顔をされないのかと悩んでしまう。
なんだっけ、ドラマとかで大人がよく飲んでる、えーっと、ドライ……ドライ……マタニティー?
「この子も私と同じのでいいよ」
先輩は私の困惑ぶりを察してか、頭を撫でながらそう言ってくれた。
ほどなく目の前に置かれたグラス。
私はその小麦色のカクテルを口に含んで、ため息を漏らす。
「美味しい」
するとすぐに、マスターがニヤリと笑って親指を立てた。
そしてそっとメニュー表の『シャンディ―ガフ』の文字を指さしてくれた。
ひょっとして、このマスターが恋愛アドバイザーさんなのかな。
いかにも女性慣れしてそうだし。
マスターは、漫画やドラマに出てくるような、ベストとカッターシャツを着た上品な感じじゃあなくて、ダボッとしたTシャツに所々が破れたジーンズを履いている。
首からは金のネックレスがぶら下がっていて、左手の指にはごつごつとした指輪が二つ、はめられていた。
40才くらいかな?
無精ヒゲと長めの髪の毛のせいで年はよく分からないけれど、派手な見た目とは裏腹に、瞳と物腰はとっても優しい。
「先輩、もしかしてマスターがアドバイザーさんですか?」
マスターがDJブースに入ってレコードを弄っている隙に、葉子先輩に尋ねる。