その恋愛は、恋愛ですか?
 レンさんは怪しい呂律でそういってから、ロックグラスを一気に空にした。


 そしてすぐにまた、テーブルにキスをする。



「そ、そこをなんとか」



 私が食い下がると、先輩は「やめときな」と言って不機嫌そうにグラスを傾ける。


 けど、ここで引き下がる気にはなれない。


 このあと、何も収穫なしでアパートに帰ったときのことを考えると、眩暈がするほど不安だった。


 もし恋次さんが迷惑そうだったらすぐに撤退しますなんて心に誓っていたけれど、あれは大嘘だ。



「あのねぇ、お嬢ちゃん。
おぢさんは今日、彼女と別れたとこなのさ。
他人の恋愛を応援する気になれると思うかい?」



 おぢさんって……。まだ20代でしょうに。



「もしも私の悩みが解決したら、女の子の友達、沢山紹介しますから」


「ほんと!?」


「はい、恋次さんカッコいいし、きっと友達も喜びますよ」


「ふっ。それで、何に悩んでいるのかな?
何でも相談してくれたまえ」



 なんという変わり身の早さ。


 効果は抜群でした。


 あっという間に私の隣の席に移動してきた恋次さんは足を組んで、膝の上に手のひらを添えた。



 葉子先輩は「あんた、こういうのの扱い、意外と上手なのね……」と隣であきれていた。
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