その恋愛は、恋愛ですか?
 翌朝。


 玄関のドアがパタンと閉まる音に気が付いて、私は目を覚ます。


 間仕切りの向こうをぼんやりと眺めていると、先輩はダイニングのテーブルにレジ袋を置いてから、こちらをちらりと見た。



「おっと、悪い。起こしちゃった? 食料調達にいってたんだよ」



 先輩はそう言って、コンビニのレジ袋からお弁当や飲み物を次々に取り出す。


 私は立ち上がると、「すみません」といって急いで目元をこすった。



「まだ寝ててもいいよ?」


「いえ、よく寝ました。久々に」



 和室の壁掛け時計に目をやると、時刻は朝の9時過ぎ。


 6時間は眠っただろうか。


 いつもだったら土曜の夜は眠れずに、日曜の朝に3時間くらい、気を失うようにして眠る程度だったから、十分だ。



「じゃあ、メシにしよっか」


「はいっ。ありがとうございます」





 相変わらず先輩はよく食べる。


 私が小振りのそぼろ弁当を食べている間に先輩は、大きな中華弁当、サーモンのお寿司5巻、チョコパンを平らげて、今は食後のデザートにビーフジャーキーをかじっている。


 これだけ食べて太らないなんてずるい。


 栄養が全部、あの豊満な胸にいっているんだろうか……。


「で、ヨリ。彼から連絡入ってた?」



 先輩に言われてはっとして、私は急いでバッグからスマホを取ってくると、恐る恐るに指を動かす。


 ロック解除のナンバーは私の誕生月と圭介の誕生日を合体させた、1021。


 
「着信なし、です」


「そっか」



 先輩は特に何を言うでもなく、ジンジャエールを煽ってため息を吐き出す。
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