その恋愛は、恋愛ですか?
「そんなことより、ひっさびさにいこうよ、カラオケっ」



 先輩は急に子供のような輝く瞳で私を見つめた。


 そう、先輩の唯一にして無二の趣味はカラオケ。


 先輩がまだ学生だった頃は、よく一緒に行ったものだ。


 けど先輩、歌いだすと止まらないからなあ……。


 いや、お上手だからいいんだけれども、毎回、最低でも4時間は歌い倒すのだ。


 だから、他の友達はあまり付き合ってくれないといつも嘆いている。



「いいですよ、いきましょっか」


「やたー!」



 こんな可愛らしい先輩の姿を見れるのだから、私は結構楽しいんですけどね。



「よーし、速攻で準備するねっ」



 先輩はそう言って、またリビングから飛び出していった。


 遠回しに、「速攻で準備してね」と言われたことに気が付いて、私も慌てて化粧ポーチを拾い上げた。
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