その恋愛は、恋愛ですか?
「そっか。まあ、俺もしょっちゅうダチと遊んでるし、お互い様っしょ」



 圭介は、そういって優しげに微笑む。


 その表情に一瞬、ほっと息を吐きだしそうになる。


 けれど、その瞬間に浮かんだ恋次さんの言葉が、吐き出しそうになっていた安堵のため息をせき止めた。



『もしも、彼氏が平気で二股をかけられるような人間であれば、君のお泊りに対して特に詮索はしてこない。お互い自由にやっていくということでいいんだな、と、自己解決してしまう。むしろ、罪悪感が薄れてスッとすることだろう』



 思い出した瞬間、背筋に流れていた電流が頭のてっぺんを突きぬけていくような思いだった。




 私は思わず立ち上がり、平静を装ってトイレへ入り、鍵を閉める。


 頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。


 もしも恋次さんの言うとおりなら、彼は二股をかける気でいる。


 うそだ。


 そんなわけがないよ。


 圭介はきっと、純粋に友達と遊んでただけで、私がお泊りしたことについても今までの自分の行動を省みて、責めないだけ。


 きっと昨日の夜に反省したんだよ。


 うん、そっちの可能性のほうがずっと高い。



 

 ……―――もういい。もうやめよう。



 訊いてみればはっきりする。


 もう、こんなのは今日で最後だ。


 私はグチャグチャの頭のまま、意を決してトイレのドアノブを回した。


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