サヨナラからはじめよう
滲んで歪む視界にふと入ってくるものがあった。
テーブルの上に綺麗に並べられたそれらのもの。
オムライスにオニオンスープ、
そしてアボカドのサラダ。
彼は今日どんな気持ちでこれを準備したんだろうか。
視線を下げて自分の右手を見つめる。
そこには彼と食べようと数年振りに買ったケーキの箱があった。
「ふふっ、バカみたい・・・・」
泣きながら笑いは止まらない。
自分がひどく滑稽に思えた。
部屋の中にいつまでも泣き笑いの音だけが響いていた。