サヨナラからはじめよう
もう何も見えません、聞こえません
週末は最悪だった。
一晩中泣き続けて朝を迎えれば頭はガンガン割れるように痛く、
顔はまるでお化けのようにひどい有様だった。
おまけにようやく治っていた風邪がぶり返したのか、はたまた知恵熱というやつだろうか、またしても熱が出てうんうん寝込む羽目になってしまった。
あれから。
司は何度も家を訪ねてきた。
最初は夜が明けてから間もなくしてだった。
次は昼頃。そして夕方、さらには夜にも。
鳴り響くインターホンの音を認識しながらも、
私は一度たりとも出ることはなかった。
よく考えれば合い鍵を渡したままだった。
当然この部屋までのセキュリティもくぐり抜けることは簡単にできる。
けれども司はそうはしなかった。
いや、できなかったといった方が正しいのだろう。
これ以上私を踏みにじることはできないと思いとどまったのか、
いずれにしても私の知るところではない。