サヨナラからはじめよう
「ちょっと中村君!いきなり何言ってんの?」

酔いも一気に冷めるくらい私は慌てて言った。

「いきなりじゃないですよ。俺は涼子さんが好きだってちゃんと言いましたよね?本当はこんなに強引にいくつもりはなかったんですけど、色々と傷ついて落ち込んでる涼子さんを見たら放っておけなくて」

「中村君・・・?」

「ゆっくり待ってる間に誰かにあなたを傷つけられるくらいなら、俺が奪いに行きます」

「おぉ~っ、中村言うねぇ!」


中村君の宣言にその場は最高潮の盛り上がりをみせる。

「ちょっと涼子、あんたどうすんのよ!中村君ならアリだと思うわよ?」

菜摘まで興奮気味に聞いてくる。

そんなこと言われたって、私はまだ何にも心の整理がついてないのに!
中村君もゆっくり考えてくれればいいって言ってたじゃない!
なんでいきなりこんな・・・


「私・・・・私は・・・・・・・飲みますっ!!!」


混乱する思考を誤魔化すように手元のお酒を一気に煽った。
それと同時におぉ~っと歓声が上がる。
それからも私はひたすら飲みまくって現実から逃げた。

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