サヨナラからはじめよう
あなたは誰ですか?


「中村君、週末はごめんね。色々ありがとう」


週も明け、いつもと変わらない日常が始まった。
私は出社するとすぐに中村君の元へ行き、週末のことを謝った。
彼は私に気付くとすぐに立ち上がって待ち構えていた。

「いえ、こちらこそ強引にすみませんでした。でも後悔はしてませんから」

彼が飲み会の場で堂々と告白をしたことが思い出される。
そうだ、同期にも全て見られてしまった。
これから好奇の目で見守られるだろうことを思うと正直気が重い・・・

「そのことだけど、私も気持ちの整理をつけたいから、お手柔らかに頼むよ・・・?」

「わかってます。でも攻められる時にはどんどん行くので涼子さんも覚悟しておいてください」

強い眼差しでそう断言する彼の姿に一瞬ぐらつきそうになる。
もう何年も恋愛からご無沙汰の私には強烈すぎる刺激だ。
しかも相手は望んでも手に入らないようなタイプの人間。
普通なら喜んでお受けするところなのだろうけど、私の腰は重い。

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