サヨナラからはじめよう
そんなことは・・・今更です
_____息苦しい。
やり場のないこの気まずさはどうすればいいのか。
あれから連れてこられたのはまだ開店前のどこかのバー。
こじんまりとしているけれどとても綺麗なその場所は、
バーというよりもお洒落なカフェのような内装で埋め尽くされていた。
私たちに気付いたマスターは40歳ほどの男性で、開店前にもかかわらず笑顔で迎え入れてくれた。もしかしたら彼女の知り合いのお店なのかもしれない。
小さなテーブルに向かい合う形で座ると、紅茶だけを出してマスターは奥に下がってしまった。
それから二人きりだけのこの空間。
息苦しさが半端じゃない。
彼女は一体なんのために私に会いに来たのか?
そんなの決まってる。
司のことだ。
彼が私のところにいたのがばれてしまったのだろう。
もしかしたら昔から私のことを知っていたのかもしれない。
そんな女とやましいことがないとはいえ2週間も一つ屋根の下で過ごしていたのだ。
怒るのも当然のことだろう。
彼女は私に罰を与えに来たのだ。