サヨナラからはじめよう
「彼は私に泣きついてきました。幸せだけど不安で仕方ないんだって。幸せだからこそ余計苦しいって。・・・今だからわかるけど、彼は完全なアダルトチルドレンだったんです。幼少期からのトラウマが原因でどうしていいかわからなかったんだと思います」


過去のことが蘇ってくる。
司は私が怒る度に、泣く度にひどく嬉しそうにしていたこと。
浮気した後はいつも以上に私を甘やかしていたこと。
それは全て彼の狙い通りだったってこと・・・・?


「彼は私に協力して欲しいと言ってきました。でも私は当然反対した。そんな試すようなことをしたら逆に相手の気持ちは離れていくだけだって。でも彼は引かなかった。あまりにも必死で縋る彼を・・・私は放っておけなかった。だから協力することにしたんです」

「・・・・まさか」

「そう。あなたが見聞きした『カナ』は全て私のこと。彼は私を使って浮気をでっちあげた。そしてそれ以外の女も全て私の昔の職場の知り合い・・・つまりは全員男だった。とは言っても中には司のことを本気で狙ってる子もいたけど、当然司にはそんなつもりは微塵もなかった。ただの協力者に過ぎなかった」


ドクンドクンドクン・・・・

どういうこと・・・?
それじゃあ、それじゃあ・・・・?
< 173 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop