サヨナラからはじめよう
重苦しい沈黙だけが広がっていた。
私は顔を上げることも出来ずにただただ泣いていた。
カナさんは肩を震わせて泣き続ける私をひどくつらそうに見ていた。
何度も何度もごめんなさいと口にしながら。
時間も何もかも止まってしまうほど、私は泣き続けた。
「・・・・ごめんなさい、取り乱してしまって」
「いえ、当然のことです。こちらこそ本当にごめんなさい」
あれから数十分経ってようやく落ち着きを取り戻した私は、目の前でもう一度頭を下げるカナさんを見た。
「カナさん、顔を上げてください。・・・あなたの気持ちはよくわかりましたから。
・・・・もういいんです」
「っそれじゃあ・・・?」
ガバッと顔を上げて口を開いた彼女に私はゆっくり首を横に振った。
「過去の事はよくわかりました。・・・・でもだからといって彼と私の未来が繋がることはありません。・・・彼にどういう理由があったとしても、私もひどく傷ついたのは事実なんです。そんな過去があったからなんですね、じゃあ元に戻りましょう、
・・・そんな風にはなれません」
「・・・・・」
「それに、彼はまた嘘をついた」
「え?」