サヨナラからはじめよう
「・・・・・・・・」


何も言えずにただ俯いてしまった私の頭を、カナさんは黙って撫でた。
その優しい動きにまた涙が零れそうになったけど、必死で耐えた。

「ごめんなさい。あなたを追い詰めるようなことを聞いてしまって。あなたの人生だものね。どういう答えを出そうとあなたの自由だわ」

「カナさん・・・」

ゆっくり顔を上げた私にカナさんは優しく微笑んだ。

「でも今日こうしてあなたに会えて本当に嬉しかった。司から初めて話を聞いてから約7年。どんな女性なんだろうってずっと想像してたから。・・・・実物は想像よりもずっとずっと素敵な人だった。司も人を見る目があるじゃんって少しだけ見直したわ」

そう言って悪戯っぽく笑ったカナさんを見て、やっぱり涙腺が緩んできてしまった。

「泣かないで。あなたを泣かせたって知られたらあいつにぶっ殺されるから。
・・・・でもまぁあいつにそんな資格はないんだけどさ」

「・・・・ふふっ」


やっぱりカナさんはとても素敵な人だ。
いつの間にかすんなり懐に入ってきている、そんな不思議な魅力のある人だ。

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