サヨナラからはじめよう
「じゃあ、私はこの辺で・・・」

「うん、今日は本当にありがとう。びっくりさせてしまって本当にごめんなさいね。でもあなたに会えて幸せだった」

そう言って差し出された手をそっと握ると、カナさんはこれまでで一番素敵な笑顔で微笑んだ。

手を離すと、私は彼女に一礼してその場をゆっくり離れた。
彼女がずっと見ている気配を感じたけれど、一度も振り返らずに進んだ。


「・・・・また会える運命を信じてるから」


去って行く私の後ろ姿に向かってカナさんが呟いていた言葉は私の耳には届かなかった。








突然突きつけられた衝撃の事実。

全く予想だにしなかったその真実に動揺は隠せない。

でもだからといって何かが変わるわけでもない。
司に対して感じるのは怒りなのか、悲しみなのか、
それともそれとはまた違った感情なのか。



とにかく今の私にはその事実を受け止めるだけで一杯一杯だった。



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