サヨナラからはじめよう
「あ、そうだわ。三国さん、この前話したやつだけど」
「え?何の話ですか?」
「ほら、あなた好みの建築物が載ってたわよって」
「あぁ!そうでした!見せてもらうのを楽しみにしてたんですよ」
そうだった。
あれから色んな事があってすっかり考える暇もなかったけれど、
次に齋藤さんに会ったときには是非見せてもらおうと思っていたんだった。
「遅くなってごめんなさいね。今日持ってきたんだけど・・・・はい、これ」
彼女は鞄の中からごそごそ雑誌を取り出すと、一冊の建築雑誌を私の前に差し出した。
私はそれを受け取るとパラパラと中身を開いていく。
そうして見ていくうちに、やがてとあるページで手がピタリと止まった。
そのページに釘付けになる私を見て、思わず齋藤さんの口から笑いが零れた。
「ふふっ。やっぱり予想通り。あなたならきっとそのページで手が止まるんじゃないかと思ってたわ」
そうやって笑う彼女の言葉もろくに耳に入らないほどに、私の目はそこに集中していた。
そこにはまさに私が理想としているような家の数々が載っていたから。
事務所から戸建て、マンションに至るまで実に様々な建築物が紹介されており、
基本は洋にもかかわらず、全体が醸し出す雰囲気は間違いなく「和」だった。
「え?何の話ですか?」
「ほら、あなた好みの建築物が載ってたわよって」
「あぁ!そうでした!見せてもらうのを楽しみにしてたんですよ」
そうだった。
あれから色んな事があってすっかり考える暇もなかったけれど、
次に齋藤さんに会ったときには是非見せてもらおうと思っていたんだった。
「遅くなってごめんなさいね。今日持ってきたんだけど・・・・はい、これ」
彼女は鞄の中からごそごそ雑誌を取り出すと、一冊の建築雑誌を私の前に差し出した。
私はそれを受け取るとパラパラと中身を開いていく。
そうして見ていくうちに、やがてとあるページで手がピタリと止まった。
そのページに釘付けになる私を見て、思わず齋藤さんの口から笑いが零れた。
「ふふっ。やっぱり予想通り。あなたならきっとそのページで手が止まるんじゃないかと思ってたわ」
そうやって笑う彼女の言葉もろくに耳に入らないほどに、私の目はそこに集中していた。
そこにはまさに私が理想としているような家の数々が載っていたから。
事務所から戸建て、マンションに至るまで実に様々な建築物が紹介されており、
基本は洋にもかかわらず、全体が醸し出す雰囲気は間違いなく「和」だった。