サヨナラからはじめよう
「それじゃあお疲れ様でした。また次の仕事が一緒に出来る日を楽しみにしてるわね」

「はい。こちらこそ本当にありがとうございました。次はもっともっと成長した姿をお見せできるようにまた頑張ります」

齋藤さんとガッチリ握手を交わすと、その場はそれで解散となった。
また彼女と仕事をする機会がある、そう考えるだけでやる気が漲ってくる。

中にはこれから飲みに行く連中、カラオケにく連中、各々いたようだけれど、
私は今日はこれで帰らせてもらうことにした。
なんだか最近は本当にあまりにも濃度が濃すぎる日々を送っていて、
さすがに飲んで騒ぐほどの気力が残ってはいなかった。

店の前でまだ騒いでいる面々に軽く挨拶をすませると、足早にその場を離れた。
駅へと向かう道中、頭の中はあのことで一杯だった。

「・・・・涼子さんっ!」

後ろの方で自分を引き止める声がして振り返る。

「中村君・・・」

見れば中村君が急いでこちらに駆け寄ってくるところだった。
やがて目の前で立ち止まった彼ははぁはぁと息を切らせている。

「中村君も色々お疲れ様。おかげでいい仕事ができたわ。ありがとう」

「いえ、とんでもないです。僕も勉強させてもらいました」
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